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Game 10

2013.06.15(Sat)

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Game 10
Nanjo,R - Habu,Y
Training 2013
C41 Philidor Defence


今週末は大会参加のため、早めに更新させていただきます。ゲームナンバーが2桁となった今回は先日指した試合の解説をしたいと思います。

1.e4 d6 2.d4 Nf6 3.Nc3 e5

Modern Philidorとも呼ばれ、特にエンドゲームを好むプレイヤーに人気の固い定跡です。現在ではオリジナルの手順(1.e4 e5 2.Nf3 d6)よりもこの手順から入る試合の方が多いでしょう。
4.dxe5 dxe5 5.Qxd8+ Kxd8 6.Bg5も白にとって悪い選択肢ではありませんが、人を選ぶバリエーションだと思います。本譜も対極の意味で人を選ぶバリエーションなので、あらかじめどのラインが自分に合っているのか考えて用意しておくのが理想的でしょう。

4.Nf3 Nbd7 5.g4!?

position10-1

2003年にShirovが指したことで世界に知れ渡ったこのポーンサクリファイスは対Philidorで最も勝率の高いラインの一つです。かつてCarlsen-Radjabov Biel 2007をCarlsenが解説した時、「4.Nf3 Nbd7 5.g4を十分に研究し尽くせていなかったので4.Nge2を選んだ」と述べていたことからも、5.g4のメリットがただショッキングな見た目を持つことだけではないことが伝わると思います。
直接的な狙いは黒にgポーンを取らせてgファイルを開き、そこにルークを配置する以上のことは何もないですが、その結果として黒のキングサイドの展開が困難になるのが白のアイデアです。

5...Nxg4

他の手ではg4-g5を止めることができないので(5...h6 6.g5!? hxg5 7.Nxg5は驚くほどf7が受け辛いです)、黒は白の「愚行」を咎めてやるべきでしょう。

6.Rg1 Ngf6 7.Be3!?

最近の主流で、このラインを指すにあたり序盤はこの手まで用意していました。f7を狙いh7-h6を強制する7.Bc4の方が試合数も多く勝率も65%近くありますが、上位の試合を見るとLi Chaoが白で2敗しているのが若干の不安要素です。
7.Be3はf1のビショップを既に展開済みと見なす手で、Sicilianなどの定跡で良く見かけるアイデアです。c4にビショップを展開するのは確かに強力ですが、前に出ている分b7-b5やNd7-b6といった黒のカウンターを食らいやすい位置でもあるので、それに今1手を使う価値があるかどうかは議論の余地があるわけです。

7...c6

クイーンのために抜け道を作り、b7-b5でクイーンサイドからスペースを取る準備をします。7...g6?!からキングサイドにフィアンケット、キャスリングは黒にとって理想的なプランですが、今度こそ8.Bc4! h6と指されてh6のポーンが深刻な弱点になります。

8.Qd2 Qc7?!

自然な手ですが、2手後に黒敗勢となることを踏まえるとここが分水嶺だったように思えます。
データベースにある試合の半数以上はここで8...b5と続いており、白の勝率もたったの57%と立派な数字ですが他の候補手ほどではありません。この現象を言葉に直すのであれば、白は自由に駒を展開できるのに対しこの局面で黒が1手で成し得ることは相対的に小さく、お互いに準備期間を与えられても得をするのは白なので、黒にとっては準備をする8...Qc7よりもすぐに仕掛ける8...b5の方が望ましい、ということだと思います。

このラインのトップゲームでは黒は展開できる最低限の兵員で白陣を崩そうと試みましたが、センターが分厚く駒を全て使える白の方がやはり有利だったようです。8...b5 9.a3 (9.O-O-O b4) 9...Bb7 10.O-O-O Qa5 11.Kb1 b4 12.axb4 Qxb4 13.dxe5 Nxe5 14.Nxe5 dxe5 15.Bh3

position10-2

15...Be7 16.Bd7+ Nxd7 17.Qxd7+ Kf8 18.Qc7 Ba6 19.Rd7 Rb8 20.b3 Re8 21.Na2 Qa3 22.Qxa7 Kg8 23.Bc1 Qc5 24.Qxa6 Qxf2 25.Rxe7 1-0 Mamedyarov-Agrest Ajaccio 2008

9.O-O-O b5?!

最もcriticalな手ですが、あいにく白の展開はたった今完了してしまったため手遅れです。しかし他に候補手をあげるのが難しい状況であるのは間違いなく、最も実戦的なチャンスがある手でもあった気がします。
キングサイドは相変わらず手をつけられる状況になく、9...Nb6?は10.dxe5 dxe5 11.Nxe5!と致命的な形でワンポーンを返してしまうため、9...b6でフィアンケットからクイーンサイドにキングを避難しようとするのが一番無難な選択肢かもしれません。

10.dxe5

全ての白駒が出撃を待ち侘びているこの状況以上に局面を開く好機はありません。

10...dxe5

d7のナイトはdファイルとa4-e8ダイアゴナルの2つを塞ぐ重要な守り駒なので、交換に出さないのが賢明です。

position10-3

11.Bxb5!

この白マスビショップのサクリファイスを皮切りに白の猛攻が始まります。ただでさえ駒を動かしづらい状況なのに駒得すらなくなってしまっては黒の悪いところしか残らないので、黒はなんとしてでもマテリアルにしがみつかなければいけませんが、その方法はPCエンジンですら見つけることができませんでした。
ちなみにデータベースによればこの局面は過去2回指されており、どちらも白はここで正解の11.Bxb5!を指しています。

11...cxb5

黒はストレートにピースを取って白に攻めの根拠を問います。白はここで失敗をすれば負けるというプレッシャーを背負うことになるので、少なくともポーンを諦めるよりは実戦的なアプローチだと思います。

ここでデータベースの試合も完全に分岐し、1試合で黒は完全にポーンを諦めたものの白の勢いは試合が終わるまで一切落ちることはありませんでした。11...Bb4 12.Bc4 Nxe4 13.Qd3?!(13.Bxf7+!) Ndc5? 14.Bxc5 Nxc5 15.Bxf7+! Kxf7 16.Qc4+ Ne6 17.Ng5+ Kf8 18.Qxe6! Bxe6 19.Nxe6+ Kf7 20.Nxc7 Rad8 21.Ne4 h6 22.Rxg7+! 1-0 Williams-Carlhammar France 2008

もう一方の試合では黒が決死のカウンターサクリファイスを仕掛け、見事白を混乱させることに成功しました。11...Nxe4!? 12.Nxe4 cxb5 13.Rxg7!!

position10-4

(13.Nd6+? Bxd6 14.Qxd6 Qxd6 15.Rxd6 Bb7 0-1 Fernandez Andrade-Baltar Iglesias Ourense 2007) 13...Bxg7 (13...Rb8 14.Rxf7! Kxf7 15.Qd5+ Ke8 16.Qe6+ Be7 17.Bg5はメイト受け無しです) 14.Nd6+ Kf8 15.Qd5ならば白勝ちだったでしょう。

12.Nxb5

クイーンへの当たりは簡単に防ぐことができますが、Nb5-c7+のナイトフォークはそう上手くいきません。

12...Qc4

ただ守り切ろうと丸まっても全てのスレットは防ぎきれないので、黒はここでカウンターを取りに出ます。
12...Qb7 13.Qa5 Nb6 14.Bxb6 axb6 15.Qxa8!; 12...Qd8 13.Qc3はどちらもNb5-c7+が刺さって白勝ちになります。

13.Qa5

このラインでもNb5-c7+は黒にとって致命的です。

13...Bb4!

黒のアイデアはビショップを展開しながらクイーンを当て返すことでした。黒のキングがキングサイドへ逃げ切れれば白のナイトでのチェックはただのルーク落ちで済むため、完璧な攻防一体の一手に見えますが、白の読みはそれを上回っていました。

14.Nxe5!

position10-5

黒はこの手を見落としていました。白駒の攻めの勢いはクイーンがいなくなったくらいでは止まりません。またこの手はオンリームーブであり、この手以外の変化は全て黒良しです。

14...Qxc2+

仕方がないので黒はクイーン交換の前にポーンを掠め取ります。
普通に14...Bxa5とクイーンを取っても白のイニシアチブは揺るがず、15.Nxc4 Bd8(他にナイトフォークを防ぐ術がありません) 16.Nbd6+ Kf8 17.Rxg7!!

position10-6

(序盤のポーンサクリファイスがここで実ります!) Kxg7 18.Nf5+ Kg8 19.Rg1+ Ng4 (普通に避けてはメイトなので黒はピースを次々に捨てて行かなければなりません) 20.Rxg4+ Bg5 21.Rxg5+ Kf8 22.Ncd6! (キングの逃走を防ぎます) h5 (22...Rg8 23.Rxg8+ Kxg8 24.Bh6! Ne5 25.Ne7+ Kh8 26.Ne8はBh6-g7#が止まりません) 23.Bd4(狙いは24.Bg7#) Rh7 24.Bg7+ Rxg7 25.Rxg7で白勝勢です。

クイーンを残して白の浮いた駒を狙うのも及ばず、14...Qxe4 15.Nc7+ Kf8 (15...Ke7 16.Qxb4+! Qxb4 17.Nc6+ Kf8 18.Nxb4 は黒がルークを守ろうとすると綺麗なメイトが入ります。 18...Rb8 19.Bc5+ Nxc5 20.Rd8+ Ke7 21.Nc6#!) 16.Qb5! (試合中の読みは16.Nxd7+ Nxd7 (16...Bxd7 17. Bc5+ Bxc5 18.Qxc5+ Qe7 19.Qg5でルーク取りとメイト、両方のスレットは防げません) 17.Qg5で、白のスレットを受けきる事ができません) 16...Rb8 17.Rxd7!で、白の駒が完全に黒の守備陣を突破します。

15.Kxc2 Bxa5

クイーンはいなくなりましたが、白の駒は依然としてアクティブさを失っておらず、黒の駒は狙いやすい位置にいるため危険な状態が続きます。

16.Nc6!

16.Nc4よりも正確な手です。黒はさらにマテリアルを吐き出さないといけません。

16...O-O

16...Bd8 17.Nd6+ではこの黒マスビショップを救えません。

17.Nxa5

この試合で初めて白が駒得になりました。これまで使ってきたポジショナルアドバンテージもまだほとんど残っているため、勝利は固いといっていいでしょう。

17...Ne5

17...Nxe4 18.Bh6!はエクスチェンジが落ちてしまうため、黒はポーンを取り返すことすらできません。

18.Bc5?!

position10-7

さらに駒得できると勘違いしての悪手ですが、幸いなことに形勢が変わるようなミスではありませんでした。
最もシンプルな勝ちは黒の反撃するチャンスを奪い取る18.Bd4! Ng6 19.Bxf6 gxf6 20.Rd6にあったと思います。

18...Bg4!

白のルークを当て返す上、それを取られた時にチェックがかかります!

19.Bxf8

19.Rxg4? Rfc8はむしろ黒良しになってしてしまうので、白はこの大量交換に応じるほかありません。

19...Bxd1+ 20.Rxd1 Rxf8

position10-8

21.Nxa7!

ここで白はワンポーンアップのアドバンテージをコネクテッドアウトサイドパスポーンのアドバンテージへと変換します。黒のキングはクイーンサイドから遠く、ルークはいつでも交換できる態勢が整っており、ナイトは現在地が離れている上に端のパスポーンを止めるのが苦手な駒であるため、勝ち筋は単純です。

21...Nxe4 22.N5c6 Nxc6 23.Nxc6 Nxf2

パスポーンを作るためにも駒損を取り戻すためにも必要な手です。

24.Ne7+! Kh8 25.Rd4!

position10-9

まず黒のキングをクイーンサイドからより遠ざけ、続いて黒のナイトの動きを封じます。黒は25...Re8で白のナイトを当ててもバックランクメイトを防ぐために1手使う必要があるので、その間にも白のパスポーンがどんどん進んでいってしまいます。この陣形から白が最速でプロモーションをする方法はbポーンをb7まで突いてからNe7-c8でb8のマスを守ることですが、それを止める方法もなかなかありません。

25...g6

黒はパスポーンの突き合いにしなければドローチャンスもないので、25...g5の方が正確だったでしょうが、その場合もわずかに遅いです。25...g5 26.b4 f5 27.b5 f4 (本譜のようにナイトを戻す27...Ne4は28.b6 Nc5 29.Rd5とf5のポーンが落ちてしまいます) 28.a4 f3 (28...Ng4 29.Nd5! Nxh2と白のキングサイドポーンを全滅させている余裕はありません。30.b6 f3 31.a5 f2 32.Ne3 Re8 33.b7で、白の狙いが先に決まります。また、28...g4 29.a5 g3 30.hxg3 fxg3 31.Rd5! Re8 32.b6! Rxe7 33.Rg5 Rg7 34.Rxg3! Rxg3 35.b7 Rg8 36.a6

position10-10

は白の2パスポーンが黒のルークとナイトより強い、非常に面白い局面になります) 29.Nd5!で、白のナイトがe3からf1のマスを守っている間に白のパスポーンが先にプロモーションをします。

26.b4 f5 27.b5 Ne4 28.a4

aポーンでbポーンをいつでもサポートできるようにしておきます。

28...Nc5

b7は黒のナイトが白のポーンを最も長い間制止しておくことができるマスですが、キングが遠すぎて間に合いません。

29.Rc4!

position10-11

パスポーンはナイトのサポートがあれば十分なので、ここでルークを交換してしまいます。

29...Nb7 30.Rc8 Rxc8+ 31.Nxc8 f4 32.Kd1

黒のキングと違い、白のキングは黒のポーンを止められるだけの距離にいます。

32...g5 33.Ne7 g4 34.Nc6

a5のマスを守ったことで、パスポーンは再び動き出すことができます。

34...g3 35.hxg3 fxg3 36.Ke2 1-0

position10-12

黒のパスポーンは止められてしまい、白のパスポーンは止まらないことが決まってしまったのでこれ以上試合を長引かせる理由は黒にもありません。
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